スクラッチ上級者向けのアプリ「スニペッチ」を更新しました
スニペッチとは
スクラッチという、子供向けのプログラム言語があります。マウス操作でブロックを並べるだけでプログラムを作れることが大きな特徴で、キーボードの操作に慣れてない子どもたちでも、タイプミスでつまづくことがありません。英語がわからなくても大丈夫です。
ただ、複雑なプログラムを作るためにはたくさんのブロックを並べなけばならず、マウス操作で行うのは大変です。スニペッチは、文字で書いたプログラムをスクラッチに変換するアプリです。
スクラッチはWebアプリですが、オフライン用のScratch 2 Offline Editorがあります。これで作った作品をWebにアップロードしたり、Webから作品をダウンロードしてオフラインエディタで続きを作ったりできます。
スニペッチは、このオフラインエディタといっしょに使います。スニペッチでコードを書き、緑の旗(スクラッチの世界では再生を意味する)を押すと、コードが作品ファイルにコンパイルされ、オフラインエディタが起動して作品が読み込まれます。
スクラッチと同じブロックが並んでいて、それをコードエディタにドラッグ&ドロップすると、ブロックがコードに変わります。これを繰り返すことで、ブロックとコードが同じ意味だということに気づき、やがてはブロック無しでコードをかけるようになるのです。
また、「スニペッチ」の語源でもあるのですが、繰り返し使う処理「スニペット」を別ファイルにしておき、他のファイルから参照することができます。スクラッチでは、同じ処理を複数のスプライトにコピペすることがよくありますが、そうすると修正する際に複数箇所で行わなければならなくなります。ですが、スニペッチでは共通処理のコードを修正するだけで済みます。
スニペッチの特徴
- コードエディタ
- JavaScript風のコード
- 単語のハイライト
- コード補完
- 自動インデント
- スクラッチと同じブロックからコードを作成
- 共通コードの再利用
- コードをスクラッチ用の形式にコンパイル
作ったきっかけ
今から5年ほど前、ネットでスクラッチのことを知り、当時小学生だった娘といっしょにはじめました。スクラッチのイベントに足を運んだり、プログラム教室にボランティアで参加したりもしました。スクラッチのアカウントを作り、子どもたちの参考になればといろいろ作品を作りました。
ある時、スクラッチのファイルの中を見てみたら、JSONとメディアファイルで出来ていることに気づきました。これなら、ブロックじゃなくてテキストで編集できるのでは?と思ったのがはじめのきっかけです。 ブロックとJSON構造の関係を解析して、JSONを手書きで作品を作ってみました。
JSONを手書きではなく、普通にプログラム言語で書きたい。そのようなツールがあれば、スクラッチの作品を効率よくつくれるし、娘にも文字で書くプログラムを覚えてもらいたい。そういう思いからスニペッチを作り、2014年11月にはじめのバージョンを公開しました。
ですが、娘はあまり興味をしめしてくれず、スクラッチもあまりやらなくなってしまいました。私もモチベーションが下がり、最近までなにもしていませんでした。
復活した理由
先日、配布していたスニペッチのインストーラーが動かなくなっていることに気づきました。理由はインストーラーの証明書の問題でしたが、この記事「昔作った Adobe AIR のアプリをメンテしようとしたら、リリースビルドが出来ずに苦労した件」に書いたように解決できました。
久しぶりに動かすとちゃんと動き、また昔のようにスクラッチの作品を作ってみたいと思いました。自分で作ったものを褒めるのも変ですが、このまま埋もれさせるのももったいないし、みんなに知ってもらい、役に立ててもらいたいです。
今後の予定
スクラッチはFlashで作られています。Flashは2020年でサポートが終わることもあり、スクラッチ本家ではReactで作りなおそうとしているようです。
AIRは今後もサポートが続くとアナウンスされているので、AIRでの開発は可能です。ですが、いま仕事でReactをやってることもあり、React + Electron で作りなおしてみたいです。いま流行っている言語で書きたいし、ReactならWebサービスにもできる可能性もあります。
でも、まずはスニペッチのドキュメントをまとめないと、詳しいコーディングの方法をわかってもらえないので、それをやろうと思います。ドキュメントはホームページに掲載していきます。 一人でも多くの人に便利だと思ってもらえるとうれしいです。